リスクコミュニケーションのための化学物質ファクトシート
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作成年: 2012年

ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリド

別   名 セチルトリメチルアンモニウムクロリド、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、セトリモニウムクロリド、CTAC、HTAC
管理番号 389
PRTR政令番号 1-431(化管法施行令(2021年10月20日公布)の政令番号)
C A S 番 号 112-02-7
構 造 式 ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリド構造式
  • ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドは、繊維の帯電防止・柔軟剤、化粧品(リンス)、消毒剤、業務用洗浄剤や試薬として使われています。
  • 2010年度のPRTRデータでは、環境中への排出量は約100トンでした。事業所から排出されたほか、業務用洗浄剤の使用や家庭での化粧品の使用などに伴って排出されたもので、ほとんどが河川や海などへ排出されました。

■用途

 ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドは、常温で固体です。繊維の帯電防止・柔軟剤、化粧品(リンス)、消毒剤、業務用洗浄剤や試薬として使われています。

■排出・移動

 2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約100トンが環境中へ排出されたと見積もられています。化学工業などの事業所から排出されたほか、業務用洗浄剤の使用や家庭での化粧品の使用などに伴って排出されたもので、ほとんどが河川や海などへ排出されました。この他、化学工業の事業所から廃棄物として約0.62トン、下水道へ約0.012トンが移動されました。

■環境中での動き

 水中へ排出されたヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドは、容易には微生物分解はされないと推定されていますが、条件がそろえば、微生物分解される可能性があります1)。大気中へ排出された場合は、化学反応によって分解され、6〜10時間で半分の濃度になると計算されています1)

■健康影響

毒 性 ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドは、ウサギを使った実験で、眼や皮膚に対する刺激性が報告されています1)

体内への吸収と排出 人がヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドを体内に取り込む可能性があるのは、皮膚に触れることなどによると考えられます。現在のところ、体内へのヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドの吸収と排出に関する知見はありません。

影 響 ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドの環境中の濃度の測定結果はなく、また人の健康への影響を評価できる情報も現在のところ報告されていません。

■生態影響

 ヘキサデシルトリメチルアンモニウム=クロリドは、魚類に対する有害性からPRTR制度の対象物質に選定されていますが、現在のところ、わが国では水生生物に対する信頼できるPNEC(予測無影響濃度)はまだ算定されていません。

性 状 固体
生産量2)
(2010年)
国内生産量:約310トン
輸 入 量:−
輸 出 量:約39トン
排出・移動量
(2010年度
PRTRデータ)
環境排出量:約100トン 排出源の内訳[推計値](%) 排出先の内訳[推計値](%)
事業所(届出) 32 大気 0
事業所(届出外) 17 公共用水域 100
非対象業種 37 土壌
移動体 埋立
家庭 15 (届出以外の排出量も含む)
事業所(届出)における排出量:約33トン 業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 53
石油製品・石炭製品製造業 47
燃料小売業 0
事業所(届出)における移動量:約0.63トン 移動先の内訳(%)
廃棄物への移動 98 下水道への移動 2
業種別構成比(上位5業種、%)
化学工業 100
PRTR対象
選定理由
生態毒性(魚類)
環境データ
適用法令等

注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。

■引用・参考文献

■用途に関する参考文献