[この文書を印刷される場合はこちら(PDF)] 作成年: 2012年 |
デシルアルコール
■用途 デシルアルコールは、常温で無色透明の液体で、揮発性物質です。タバコのわき芽抑制剤や非農耕地用の除草剤に用いられる農薬の有効成分(原体)として使われるほか、塩化ビニル樹脂の可塑剤、潤滑剤、化粧品に使われる界面活性剤や香料の原料として使われています。甘い香りがあり、食品添加物(香料)としても使われています。 ■排出・移動2010年度のPRTRデータによれば、わが国では1年間に約150トンが環境中へ排出されたと見積もられています。ほとんどが農薬の使用に伴って排出されたもので、ほとんどが土壌へ排出されました。この他、化学工業などの事業所から廃棄物として約32トンが移動されました。 ■環境中での動き土壌へ排出されたデシルアルコールは、土壌に吸着され、主に微生物によって分解されます1)。また、湿った土壌からは揮発することによっても失われると考えられます1)。水中に排出された場合は、粒子などに吸着されると考えられますが1)、微生物によっても分解され、実験では12時間で29.3%が分解されたと報告されています2)。大気中へ排出された場合は、化学反応によって分解され、4.2〜42時間で半分の濃度になると計算されています2)。 ■健康影響毒 性 デシルアルコールは、ウサギの眼及び皮膚に対して刺激性がみられたとの報告がありますが3)、人に対しては、デシルアルコール3%を含むワセリンは皮膚に対する刺激を示さなかったと報告されています4)。 体内への吸収と排出 人がデシルアルコールを体内に取り込む可能性があるのは、食物や飲み水、呼吸によると考えられます。現在のところ、体内へのデシルアルコールの吸収と排出に関する知見はありません。 影 響 河川などからデシルアルコールは検出されていますが、人の健康への影響を評価できる情報は現在のところ報告されていません。 ■生態影響環境省の「 化学物質の環境リスク初期評価」では、藻類の生長阻害を根拠として、水生生物に対するPNEC(予測無影響濃度)を0.00029 mg/Lとしています2)。このPNECを超える濃度のデシルアルコールが河川から検出されており、環境省では詳細な評価を行う候補物質としています2)。
注)排出・移動量の項目中、「−」は排出量がないこと、「0」は排出量はあるが少ないことを表しています。 ■引用・参考文献
■用途に関する参考文献
■適用作物に関する情報
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